2012年10月10日水曜日

#ふくしま集団疎開裁判 『いま子どもがあぶない』 立ち読みコーナー



「ふくしま集団疎開裁判」を支持します。
荒井晴彦 おしどりマコ 柄谷行人 神田香織 小出裕章 坂本龍一
沢田昭二 高橋哲也 ちばてつや 鄭 義信 野中ともよ ノーム・チョムスキー 肥田舜太郎 矢ヶ﨑克馬 山本太郎(五〇音順) 
目次
はじめに 『ビジネス・インサイダー』の衝撃
            (Fukushima Kids Have Abbormal Thyroid Growths)
第1章 「ふくしま集団疎開裁判」を起こしたわけ 
1.       放射能の四重の残酷さ 
2.       放射能の四番目の残酷さが政府・自治体・原子力ムラの欺瞞性をあばく
3.       チェルノブイリ原発事故との比較  
4.       いかなる場合に基準値の引上げは許されるのか  
第2章 疎開裁判の判断を決める三つの力 
1.       第一と第二の力真実と正義 
2.       第三の力物いわぬ多数派(サイレントマジョリティ) 
第3章 第一審(福島地方裁判所郡山支部)の経過と結論 
1.       私たちの主張   
2.       郡山市の反論 
3.       裁判所の判断 
4.       異議申立と世界市民法廷の設置  
5.       世界市民法廷の経過   
第4章 第二審(仙台高等裁判所)の経過私たちの主張
1.       35%の子どもに「のう胞」が見つかった福島県民甲状腺検査結果の問題点を指摘
2.       被ばくによる健康被害が後の世代により強く現れる「遺伝的影響」の問題点を指摘
3.       いまだデータも対策も公開しない郡山市内小学校のホットスポット情報を提出
4.       放射能汚染土壌などを埋めた郡山市内21ヵ所の仮置き場マップを提出
5.       「郡山市の学校給食は安全か?」をめぐる疑問点を提出
6.       100ミリシーベルト問題に三・一一以前の山下見解で決着をつける証拠を提出 
第5章 人々の声
1.      当事者の声 原告の母
2.      意見書「いま、福島の子どもたちに何が起きているか?」
甲状腺障害、呼吸機能、骨髄機能をチェルノブイリ原発事故などの結果から考察する
――深川市立病院内科・医学博士松崎道幸
3.      マスコミがほとんど報道しない「ふくしま集団疎開裁判」に、ぜひご支援を
――弁護団 井戸謙一(二〇一二年八月二四日文科省前抗議行動スピーチ)
4.      なぜ福島の子どもたちの集団疎開は検討すらされないのか
――弁護団 柳原敏夫(二〇一二年八月二四日官邸前抗議行動スピーチ)
5.      ふくしま集団疎開裁判の現地から見えてきた「国際原子力ロビー」
――ふくしま集団疎開裁判の会代表 井上利男
6.      世界市民法廷(郡山)閉会の言葉
――『福島から あなたへ』著者 武藤類子
7.      現代と未来の子どもたちを粗末にしない日本国を皆で一緒に造りましょう
――育種・遺伝学者 生井兵治
8.      新たな「東京裁判」を ――柄谷行人
9.      確信犯的な「ふくしま集団疎開裁判」の判決 ――髙木学校 崎山比早子 
10.  メッセージ ――ノーム・チョムスキー 
おわりに
コラム
  裁判所へのメッセージ ――山本太郎 
  除染は壮大な まやかし? ――ふくしま集団疎開裁判の会 武本 泰 
  メッセージ ――おしどりマコ
  2台並ぶモニタリングポスト ――弁護団 柳原敏夫 
 本年九月一一日、福島県の子どもの甲状腺検査で3万8千人の中から初めて一人が甲状腺がんと診断されました。山下俊一氏を座長とする検討委員会は「チェルノブイリ原発事故後の発症増加は最短で4年」等を理由にして原発事故との因果関係を否定しました。しかし、三・一一以前の山下氏は講演で、通常なら子どもの甲状腺がんは100万人に一名と述べています(8)。さらに、原発から150キロ離れたベラルーシ「ゴメリ」地区の小児甲状腺がんは、チェルノブイリ原発事故の翌年に4倍に増加したデータを紹介しています(9)。また、今回発表の4万2千人の子どものうち43%に「のう胞」が見つかり、前回の35%よりさらに増加しました(第4章1参照)。明らかに福島の子どもたちに重大な異変が発生しています。(はじめにより抜粋)
 原告の14人は決して自分たちだけの避難を考えて提訴した訳ではありません。自分たちと同じように放射能の危険な環境で教育を受けているすべての子どもたちが避難できることを願っていました。但し、いまの裁判制度でいきなりそれを実現することは不可能でした。そこで、まず、郡山市の14人の小中学生がいわば先駆けとなって、救済を求める裁判を起こしました。もしこの訴えが認められたら、次に、14人の小中学生と同様の危険な環境に置かれているすべての子どもたちの救済を、「子どもたちを安全な場所で教育せよ」という勝訴判決を根拠にして、市民による対行政交渉を通じて実現するという構想でした。その意味で、この14人は被ばくにより命と健康の危険にさらされているすべての子どもたちを事実上代表して、訴訟に出たのです。そして、14人の命を救う裁判所の判断が出れば、それが彼らと同様の危険な環境に置かれたすべてのふくしまの子どもたちの命を救うことになるのです。(おわりにより抜粋)
立ち読みをつづける…

「ふくしま集団疎開裁判」現地から
見えてきた国際原子力ロビー
井上利男(郡山市在住) 
郡山の街外れ、わたしの居住する県営住宅の外で刈払い機が唸っている。請負の作業員が夏草を刈っているのだろう。暑い夏の日差しのなか、マスクも着けない軽装で…
外に出てみると、子どもたちの姿。どこにでもある日常的な光景である。だが、手元の線量計の値は、〇・八三マイクロシーベルト/時。ここは、防護服で身を包み、マスクを着用した作業員以外の部外者の立ち入りが禁止される放射線管理区域に該当するはずだ。
県の住宅管理当局や市の行政機関、あるいは政府の担当部局が、このような状況のなかに幼い子どもたちを放置しているのは、なぜだろう?
昨年十一月二八日、内閣官房「低線量被ばくのリスク管理に関するワーキンググループ(WG)」第五回会合において、国際放射線防護委員会(ICRP)科学事務局長クリストファー・クレメント、主委員会委員ジャック・ロシャール両氏が、居並ぶ「有識者」らや細野豪志特命大臣をはじめとする担当官らを前に「低線量被ばくに関する国際的なポリシー」について講義した。
いわく、クレメント「事故後の緊急時被曝状況における公衆防護基準: 二〇~一〇〇ミリシーベルト/年、その後の現存被曝状況: 一~二〇ミリシーベルト」。
そして、ロシャール「チェルノブイリ事故で被災した住民の大多数は被災地域に留まる決心をした」
WG最終会合となった第八回は十二月十五日に開催されている。野田佳彦首相が福島第一原発事故の「収束」を宣言したのは、その翌日のことである。そして同じ十六日、福島地裁郡山支部は、「年間一〇〇ミリシーベルト未満の低線量被曝による健康への影響は実証的に確認されていない」として、安全な環境での教育を求める子どもたちの申立てを却下した。
事故収束宣言以降に相次いだ、川内村の帰村宣言、避難区域の見直し、学校等の屋外活動時間制限の解除、高校野球福島県大会の「例年通り」開催、屋外プール授業の再開、大飯原発再稼働、田中俊一氏らの原子力規制委員会人事の内定など、一連の動きの背後にICRPによるお墨付きがあったのは、上記の経緯から容易に読みとれるだろう。
そのICRPが勧告する放射線被曝防護の基準とは、故中川保雄氏の遺した名著『増補版・放射線被曝の歴史』によれば、「核・原子力開発のためにヒバクを強制する側が、それを強制される側に、ヒバクがやむをえないもので、我慢して受忍すべきものと思わせるために、科学的装いを凝らして作った社会的基準であり、原子力開発の推進策を政治的に支える手段」にすぎないものなのだ。
先日、遠来の客人の願いにより、いわき市久之浜の津波被災地に向かった。夏草生い茂る住宅街跡地の光景が広がるなか、穏やかな太平洋を背にして、傷んだ護岸堤防のうえに祭壇が設けてあった。プランターに花が咲き、その前に小さな陶製の幼児人形が並んでいた。
線香を手向けながら、思った…いつの日か、やがて、このような慰霊の祭壇を原発被災地のあちこちで見ることになるのだろうか…あるいは、あくまでも隠蔽されつくされるのだろうか?
わたしとて、あの三月十一日以来、郡山のわが家訪問を断念している娘と孫たちを持つ身である。諦めるわけにはいかない。マーガレット・ミードも「疑ってはいけない。思慮深く、献身的な市民たちのグループが世界を変えられるということを。かつて世界を変えたものは、実際それしかなかったのだから」というように。
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