2014年6月4日水曜日

【被曝地報告】リチャード・ウィルコックス「日本の放射性ポチョムキン村~政府の裏表あるデータ」


日本の放射性ポチョムキン村
政府の裏表あるデータ

Japan's Radioactive Potemkin Village:
The Government's Double-Dealing Data
リチャード・ウィルコックス博士
2014
412
「リスボンに飛ぶ飛行機に乗りたいのだろ?
どうしてだ…リスボンになにがある?
アメリカに帰国するのだ。おれは、お前はなぜアメリカに帰らないのかとよく考えたものだ。教会の資金を持ち逃げしたのか? 上院議員の妻と駆け落ちしたのか? 人を殺したのだと考えるのが、ロマンチックな気がして好きだった。
三つ全部、合わさっているのだ。
天の国のなにがおれをカサブランカへ連れていったのだ?
おれの健康だ。水を求めて、カサブランカに来たのだ。
水? どんな水だ? おれたちは砂漠にいるのだぜ。
おれは騙されていたのだ」
――レインズ&ボガート、カサブランカ(1942年公開映画)
自分が間違っていると思って立ちどまっているが、わたしが最近、二本松市で面と向かって目撃したのは、日本政府側のガンマ放射線レベルに関する科学的な事実のごまかしと露骨な虚偽の説明の他のなにものでもなく、そのために何万人もの住民に早すぎる死をもたらすことになると解釈できるものだった1。わたしは、福島第一原子力発電所の核惨事現場周辺の避難区域のすぐ外側に位置する小ぶりな街、二本松の近郊の美しい土地に設置された核難民キャンプを訪問した2
二本松は、20113月の三重メルトダウンでひどく放射能で汚染した福島第一原発から近い地域にある典型的な中都市である。風向きのせいで、原発の南側は北西側ほどには汚染されなかった3。昨年の夏、わたしは南側から原発のほんの数キロ手前まで行ったのだが、計測値が0.5マイクロシーベルト/時を超えることはなかった。(0.1マイクロシーベルト/時が、正常な環境で人が浴びる線量であることを思ってみよう)
0.5マイクロシーベルト/時といえば、平静でおれないほど高い線量だが、わたしが二本松で体験した2マイクロシーベルト/時ほどではなかった。(農民や遊び盛りの子どもたちのように)屋外ですごす時間にもよるが、これでは年間19ミリシーベルトに達し、公式限度値の年間20ミリシーベルトを辛うじて下回るだけである。3.11核惨事以前、日本政府は一般人の被曝安全限度値を年間1ミリシーベルトに定めていた。
(写真 © Richard Wilcox, 2014
二本松、現実の放射線レベル:1時間あたり2.17マイクロシーベルト
仮設住宅団地はかつての野球場だった崖上の土地に設置され、
周囲の農村や山地の美しい景観を臨んでいる。
放射線に対応する日本版ポチョムキン村の入り口。二本松に設置された政府のモニタリング・ポストは0.143マイクロシーベルトという精密な数値を示しているが、そのすぐ近くの周辺区域は除染されている。この低レベル放射線量とされ、現実に反する擬似事実は、政府やメディアによって大々的に広報される。
政府が設置した放射線検知器は大型の機械であり、わたしたちボランティア・グループが訪問した仮設住宅団地の中央事務所棟の前に立っている。
公的なガイガー計測器の近くで測った、わたしの計測器の数値は同じ程度だったが、仮設住宅の住民会長、本田さんがわたしたちに説明したところによれば、政府が機械の設置場所の周辺を除染しているからとのことである。
説明を受けたあとで測ってみると、数値はかなり上下に振らついたが、わたしがそこにいた数時間分を平均すれば、0.14マイクロシーベルト/時だった。
仮設住宅の周辺を歩いてみると、わたしの計測した空中と地表の放射線数値は1から2マイクロシーベルト/時超まで大きくばらついていた。
その団地は「仮設住宅」と考えられていたので、その時まで除染されていなかった。除染にあてる労働力と資金が限られているので、恒久的な住宅地が優先されていた。安倍首相が度をこして派手なオリンピック事業者のポケットに納税者の助成金を潤沢に注ぎ込む余裕を見せていることを考えると、なんとも皮肉なことである42020年のほんの数日間を東京ですごすだけのアスリートたちに供用する豪華な部屋と、二本松の住民たちが何年も耐え忍ばなければならないものと、どうのように比べればよいのか、はてさて? 後者に属する人たちは企業子飼いのアスリートに比べれば、ただの廃棄可能な人間のクズなので、どうでもいいのだ。ランス・アームストロングを見るがよい。

インタビュー本田さん
わたしの仲間、タカハシ・ミホとわたしとで2014329日、二本松で最大の仮設住宅団地の住民会長である本田さんにインタビューした。
柔和な物腰、親切だが、物怖じしない本田さんは「政府が嘘をつき、正直で率直な姿勢で状況に対処していないものですから、皆が怒っているのですよ」という。
Q:この仮設住宅に何人お住いですか?
A238世帯の538人が住んでいますが、そのうち67人が独居老人です。安達仮設住宅の子ども(小・中学生、高校生)は70人です。毎日の登下校に、スクールバスが5台来ます。子どもたちは遠くの学校に転校させられ、友だちがバラバラになりましたので、大変なストレスに耐えています。
安達仮設住宅の狭苦しい家並み。
午後の陽光のなか、少年が楽しそうにローラボードで遊び、春の雪解けを喜ぶ。
Q:二本松市内に、フクシマ核惨事避難者の仮設住宅団地は何か所ありますか?
A11か所ありますが、ここが最大の仮設住宅団地です。他にも、この辺りのさまざまな場所に核事故・津波避難者用の施設がたくさんあります。
Q:東電の事故補償について、どのようにお考えですか?
A:十分とはいえません。東電はわたしたちに一人あたり年間120万円くれました(12000ドルに満たない)。5年分として一人あたりで600万円受け取りました。よそへ引っ越す余裕はまったくありません。わたしたちは浪江町では自給生活していましたが、いまでは食べ物を買わねばなりません。

家賃を払う必要はありませんが、光熱費はかかります。わたしたちが東電と政府の過失のために避難を余儀なくされた浪江町で、わたしたちは3.11まで幸せに暮らしていました。でもいまは、帰宅を強く望んだとしても、高レベルの放射線がわたしたちの帰還を阻んでいます。
Q:みなさんが避難を強いられたご自宅の様子はいかがですか?
A:浪江の町民は、自宅の清掃やネズミ害予防などのために、4時間ばかりの帰宅が月に3回ほどできます。浪江では、平均放射線値が6から7マイクロシーベル/時であり、35マイクロシーベルに達する場所もあります。こういう数値は現在の年間20ミリシーベルト法定限度を大きく超えていますが、それでも仮設住宅の住民は定期的に帰宅して、自宅の維持管理とネズミの防除にあたっています。

地域では、多くの人たちが家族や縁者を津波で失いましたが、そのとき、極度の放射能のために彼らの捜索を阻まれました。口にするのも痛々しい話です。
Q:なぜ仮設住宅は除染されていないのですか?
A:高レベルの放射能に被曝する、これほど危険な仕事はだれもしたがりませんので、除染作業にあたる働き手が不足しています。そこで当然ですが、福島第一原発の除染とまったく同じで、作業員が不足しているのです。この辺りを除染するのに、いまから3年ばかりかかるでしょう。おまけに、わたしたちの住宅は「仮設」ですので、優先権は地元の定住地域に与えられています。二本松のみなさんは、放射能に汚染された土壌で畑仕事をやっています。わたしたちは食品中の放射能を心配していましたが、そういう食品は安価であり、入手しやすいので、みなさんはもはやそのような食品を食べるのを心配しておりません。
福島の冬は雪が深く、3月下旬になっても雪が残る。
Q:状況がどれほど改善されたとお考えですか?
A3.11以来、3年たちましたが、抜本的な対策が状況を改善したということはありませんでした。時おり、一般の注目を集めるために集会やデモを実行しようかと思いますが、実行に移すのは難しいです。改善といえるのは、ここのみなさんが2年以内に「公共復興住宅」に入居できるようになることです。同じ二本松市内であり、小さく手狭な点では、いま住んでいる仮設住宅と変わり映えはしませんが、快適な点ではいくらかよくなります。たとえば、新しい住宅では、冬に水道管が凍結する恐れが少なくなります。
Q2020年東京オリンピックが福島に前向きの影響をもたらすとお考えでしょうか?
A:いいえ、そうは思いません。神戸市は1995年の阪神大震災のあと、3年で再建されました。わたしたちがここに来て3年になりますが、福島はいまだに惨憺たる状態のままです。東京の経済人の一部にとって、オリンピックは金になるのでしょうが、遠く離れた福島や東北のわたしたちにオリンピックが役に立つかどうか、わかりません。
気前のよい本田さんはインタビューが終わると、帰路につくわたしたちボランティア全員のために自動販売機の缶入りコーヒーを買ってくださった。

汚染された居住環境
それにしても、町のコンビニエンスストアは資金と手段を備えているので、駐車場の除染を終えていた。わたしは本田さんと住民たちがもっと大きな声で抗議すべきだと思うが、みなさんは微妙な立場にあり、文句をいえば、入居許可を失うのではと恐れている。
わたしがひとりの除染作業員に話しかけてみると、彼はわたしの憶測を裏付け、福島第一原発からこの程度の距離では、2マイクロシーベルトが標準であると話してくれた。郡山では2マイクロシーベルトになることが多く、除染しても放射線は半分になるだけだと彼はいう。
福島の住民が事故当初からの負の遺産に耐えているだけで終わらず、毎日、大量の放射能が福島第一原発災害現場から空中と海中に放出されつづけている5。事実上、除染作業とは、ある場所から別の場所への汚染の移動であって、除去では決してないので、「除染事業」そのものが論争の的になっている。
政府は、この地域の放射能レベルが大幅に下がったと主張しているのだが、真実を語っているのは、どっちなのだろうか――本田さんやわたしの出会った除染作業員なのか、それとも政府なのか?6 文部科学相はウェブサイトで、避難区域内のいろいろな場所で放射線レベルが0.2ないし0.5であると主張するが、わたしが目撃したように、線量計測装置の直近周辺を除染してから計測しているなら、低レベルの理由もわかるというものである。
放射線量計測にまつわり、最近、浮上した政府のスキャンダルを含め、愚行の歴史がある7, 8。政府はいま、冷徹なデータの公表を差し控えながら、住民に死の地帯への帰還を無理強いしようとしている9, 10。地元の地方自治体は人口の減少を心配し、妊娠中の女性が戻るなら、住宅を無料提供している。ある専門家が述べている――「福島県外から戻ってくる避難者のための新規住宅支援計画というのがあります。これは主として妊娠中の女性と子どもを対象にしています。妊娠中の女性、または子どもたちが福島県に戻ると決心すると、福島県は新築で非常によい住宅を無償で提供します。連中が導入する、この類いの政策は、地方自治体が人びとに県内に戻ってもらいたがっていることを意味しています。ですから、これは女性や子どもたちの健康によい状況ではありません」11
信じられないことに、子どもたちは一日あたり8時間以上、屋外ですごさないという仮定のもとに「福島の学校と保育所の放射線量限度は3.8マイクロシーベルト/時である」12。とある2012年の事例では、映画撮影チームが避難区域を車で突っ切っていたとき、5ミリシーベルト/時の線量を経験したと報告している13。これは一日で生涯線量を浴びることに相当し、また疑いなく、このようなホットスポットが避難区域のあちこちにいっぱいある。

プルームは悪い知らせ
核の危機にまつわる政府の不正行為は実に青白く犯罪的で極悪非道の邪悪を超えている。政府をして事故のさなかに国民を守らせないものは、愚かしさだろうか? それとも官僚的な杓子条規か、ジェノサイド的な人口削減を期す国際プランなのだろうか?
学者、カイル・クリーヴランドは「放射能プルーム政策とSPEEDI惨事」を論じる重要な研究報告に次のように記している――
「浪江町の馬場有町長には、事前に東京電力と調整した精緻な避難計画も持ち合わせず、当初に事故を知ったのは、TVを観たからであり、彼の町を危険にさらすことになった、思慮のなさに苦々しく憤慨した。日本政府との連携もなかった。なにもない。馬場有町長はこういう――『彼らはわたしたちに、どこへ避難しろとも告げませんでした。なにもいわなかったのです。浪江町はすべてのことを自分たちでやりました。がっかりしたことに、わたしたちは政府からなにも聞いていませんでしたので――勧告もなかったのです――わたしたちに使えるものはなんでも――スクールバスでもなんでも――町民を地域から移動させるために使いました。町民たちの車は津波で破壊されていましたので、そういう人たちをバスに乗せました。そのときには、自力で逃げられる人たちはすでに宮城県や山形県へ逃げていました。ですから、21000人の町民はミツバチの集団のようにすべてバラバラになりました。情報がないものですから、わたしたちは放射線レベルの高い地域に知らずに避難してしまいましたので、わたしは町民の健康を非常に心配しています。わたしは心に痛みを感じていますし、政府の情けない措置には怒りを覚えます…ことばは悪いですが、わたしはあれは殺人行為だったとやはり考えます。人びとの尊厳と命がかかっていたのに、彼らはなにを考えていたのでしょう? わたしは、彼らがわたしたちの存在すら考えていなかったのではと訝っています』14
多くの人たちが、とりわけ子どもたちの健康を守りたい人たちが福島県から逃げた15。もちろんのこと、福島県は唯一の放射線被曝地ではなかった。研究者のひとりが、事故で放出された高度に放射性のホット・パーティクルが福島第一原発から500キロメートルも離れた場所に着地したのを見つけた16のであり、事故後の1か月間、日本の人びとだけでなく、北アメリカの人びとでさえ、そのような粒子を肺に吸入していたのである。

政府を信用できますか?
日本政府の公的な原子力規制庁ウェブサイト17によれば、東京のガンマ放射線値はただの0.034マイクロシーベルト/時である18, 19。この数値は、東京市街地の主要拠点、新宿の地上22メートルで計測されたもの。幸運というかどうか、わたしはその地点からそれほど遠くない場所に住んでおり、アパート建屋の地上から数階上にある自室の窓辺で測ってみると、いつも決まって0.13マイクロシーベルト/時あった。政府の放射線マップによると、地上1メートルの推測値は0.061マイクロシーベルト/時であった。わたしの住んでいる場所で地上1メートルで測ってみると、数値は0.12マイクロシーベルト/時だった。
この顕著な不一致を、どう説明しようか? 装置のせいか、測定地点の違いだろうか? 政府のマップは東京市街地全域の平均値を0.061としており、まるでそれが正確な遠隔計測値であるかのようだ。わたしは、政府と関係当局が次のような2点の主要戦術を採用していると信じている――
1.      モニタリング装置を地上高くに設置し、当然にも地表や溝の中にある最悪の放射線を読み取らないようにする。
2.      モニタリング装置に直近の区域を磨きあげ、除染して、低めの数値を創作する。
低めの数値を出すように装置の校正方法をいじくったり、公表値を操作したりすることもありうるが、わたしがこのような憶測の証拠を個人的に掴んでいるわけではない。
核推進体制とその手先らが宣伝する放射線科学にまつわる問題の多くは、その方法論にかかわる要因を制限し、結論を導き出すさいに予防原則を排除している点にある。言い換えれば――(たとえ、あなたのミトコンドリアDNAが傷ついても)クヨクヨせずに、ニコニコ笑っていよう、というわけである。
福島の事故後、わたしはわが子の学校の校庭の計測を個人的にした。わたしの計測値は、学校側が最悪の放射線量を避けるために校庭のうえで測って、報告している放射線値よりいつも確実に高かった。
わたしが3月に米国中西部にいたとき、地上および地表の屋外計測をやってみると、0.08から0.13マイクロシーベルト/時あった。わたしたちはいま、太陽や土壌からの自然背景放射線に加え、地上核実験、原子力発電所からの放出、核事故による人工放射能で汚染された世界に生きている。
この目でわたしが二本松で目撃したものは、科学を装ったペテンであり、事実を曲げた虚説だった。このことは、わたし自身の線量計の数値によって、それに仮設住宅団地住民会の会長である本田さん、わたしが対話した熟練の建設・除染作業員さんご両人の証言によって実証されている。

住民を死の地帯に送り返す
日本は、放射線のために「福島の癌発症率の拡大なし」20という国連発の楽しいニュースと歩調を合わせて、死の地帯へ住民を戻すという強力な無理強いをしてきた。一部の住民たちが故里を忘れられず、帰還したがる一方で、放射能の危険のため、多くの人たちは帰還に慎重である21。優れたウェブサイトSimply infoが、フクシマ核惨事由来の癌はありえないとする詭弁的な説を唱える最近の国連報告の骨子を次のようにまとめている――
UNSCEAR(放射能の影響に関する国連科学委員会)は、フクシマ核惨事に由来する、いかなる癌の可能性をも詭弁で言い抜けるために、癌の根本原因を究明することができないという事実を利用している。この戦術はタバコ業界やアスベスト産業で周知のものになっている。
UNSCEARが使ったデータの出処は、基本的にIAEA(国際原子力機関)、東京電力、そして日本政府である。フクシマのできごとを追っている者ならだれでも、このような情報源のどれひとつとして公正で正確であるとは考えられないと知っている。このような組織を出処とするデータの妥当性について、たくさんの異論がある。UNSCEARは他の情報源からのデータを無視しているのだ」22
いくつかの研究が、低レベルと高レベルのどちらの場合でも放射能が安全だとはいえないと問題にし、国連のリスク評価モデルの妥当性に疑問を投げかけている23, 24, 25, 26, 27, 28
研究によって、放射線が生物にもたらす傷害に関する反駁の余地のない証拠が示されており、四半世紀以上も前のチェルノブイリでも、今日のフクシマでも、野生生物に対する数限りない形態の損傷がすでに見つけられている29, 30。核時代に空飛ぶ同類の鳥たちは、皆もろともに死んで地に落ちる31

ボランティアは語る
わたしの仲間であり、津田塾大学の学生、タカハシ・チホは最近、安達仮設住宅団地の人びとを支援するボランティア体験を次のように書いている――
2012年の11月、わたしは初めて二本松の安達仮設住宅に赴いた。わたしたちのイベントに参加した子どもたちのほとんど全員の背はわたしよりも低かったが、そのわたしの身長は148センチである。しかし、それから1年半、定期的に訪問していると子どもたちの背が伸びていることに気づいた。そのような形で、わたしは時間の経過を測り、被災者の暮らしが『仮』のものではまったくなく、長期にわたり地に付くものであると知ることができた。
「小学1年生だった子どもたちは3年生になった。中学1年生だった子どもたちは高校生になった。わたしは『これが仮設暮らしと思えるかしら?』と自問した。そうは思えなかった。
2013年の2月、わたしは安達仮設住宅で年配の男性のお宅にお邪魔する経験をした。その方は、まったくの一人暮らしだった。段を踏み上がり、小さな住宅に入った。間取りは、台所、居間、寝室、風呂場の4部屋だった。彼はわたしをコタツのある居間に案内し、とても寒い日だったので、コタツに入りなさいとすすめてくれた。わたしたちは午後の30分間、話をし、彼はお子さんたちやお孫さんたちのことを話してくれたが、東京都と宮城県に住んでいるので、めったに会えないという。彼は、3.11災害のせいで浪江から二本松への引っ越しを強いられるまで、自家用の大型トラックで林業と農作業に従事していたと誇らしそうに語った。その時以来、すべてを失い、真っ昼間から飲む以外にすることがなかった。今のテーブルのうえに何本かのお酒と芋焼酎の瓶があった。
「彼の悲しい話を聞き、わたしは『大変ですね』としかいえなかった。わたしは彼の役に立てないと感じたけれど、この話を東京の人たちに伝え、二本松の仮設住宅の生活がどれほど大変なものであるか、彼らに知ってほしいと願う。
「わたしは多くの人たちに、わたしが東北で見聞し、感じた体験を知ってほしい。わたしには政府のように大金のかかるプロジェクトは実行できないが、『小さい』と見えるにしても、大事なことを貴重な友人たちと共にしようとするべきであるといつも思ってきた。このような形で、おそらくわたしは、東京の人たちが、たとえ一時に一人が相手でも、福島や東北の災害避難者たちの力になるよう、勧めることができることだろう。わたしたちのささやかなボランティア活動は、仮設住宅の皆さんの役に立つことを目指して、二本松に行く努力、ただ一つのことだが、それぞれの人がささやかでも心のこもった努力をつくせば、大きな効果を生みだすかもしれない」
【筆者】
リチャード・ウィルコックスRichard Wilcoxは東京在住、環境研究関連の博士号を保持する教師・作家であり、フクシマ核惨事の実情暴露で世界を主導するRense.comの常連投稿者。ウィルコックスはまたActivist Postにも投稿している。ラジオ・インタビューと記事のアーカイブはhttp://wilcoxrb99.wordpress.comにまとめられているし、ラジオまたはインターネット・ポッドキャストでフクシマ危機を論議するためのインタビュー申し込みEメール連絡先は、wilcoxrb2013@gmail.com
【参照文献】
1.      Richard Wilcox discusses how the Japan government lies about radiation levels, with Jeff Rense, April 1, 2014
http://rense.gsradio.net:8080/rense/special/rense_Wilcox_040114.mp3
Rense.com
http://www.rense.com
3.      早川由紀夫教授の放射能汚染地図(八訂版)
http://kipuka.blog70.fc2.com/blog-entry-570.html
Professor Yukio Hayakawa's Radiation Contour Map of the Fukushima I Nuke Plant Accident
http://ex-skf.blogspot.jp/search?q=hayakawa+radiation+maps
5.      Tepco NOT to analyze Plutonium or Uranium in bypass water before discharging to the Pacific
http://fukushima-diary.com/2014/04/tepco-not-to-analyze-plutonium-or-uranium-in-bypass-water-before-discharging-to-the-pacific/
6.      Readings at Monitoring Post out of 20 Km Zone of Fukushima Dai-ichi NPP by Municipality (March 28, 2014)
http://radioactivity.nsr.go.jp/en/contents/9000/8222/view.html
7.      Japanese Government Now Admits 675 Radiation Monitoring Posts Show "10% Lower" Than Actual Levels, "
http://ex-skf.blogspot.jp/2012/11/japanese-government-now-admits-675.html
9.      Gov't eyes swift lifting of Fukushima evacuation orders to limit damages payouts
http://mainichi.jp/english/english/newsselect/news/20140402p2a00m0na011000c.html
10.   Government team keeps high radiation data on three Fukushima municipalities from the public
http://japandailypress.com/government-team-keeps-high-radiation-data-on-three-fukushima-municipalities-from-the-public-2646381/
12.   The radiation dose limit of Fukushima schools and kindergartens is 3.8 ?Sv/h / MEXT “Unrealistically low”
http://fukushima-diary.com/2014/04/the-radiation-dose-limit-of-fukushima-schools-and-kindergartens-is-3-8-?svh-mext-unrealistically-low/
16.   The Hottest Particle
http://fairewinds.org/hottest-particle/
【日本語訳】一番ホットなホット・パーティクル
http://besobernow-yuima.blogspot.jp/2014/04/fairewinds.html
17.   Monitoring information of environmental radioactivity level
http://radioactivity.nsr.go.jp/en/
18.   Estimated and measured 1m height environmental radioactivity level at monitoring posts in 47 prefectures (Monitoring Date: March 31, 2014)
http://radioactivity.nsr.go.jp/en/contents/9000/8223/view.html
19.   47 prefecture radiation levels, March 31, 2014
http://radioactivity.nsr.go.jp/en/contents/9000/8223/24/192_20140331_20140401.pdf
20.   U.N. report finds no increase in Fukushima cancer rates
http://ajw.asahi.com/article/0311disaster/fukushima/AJ201404020056
22.   IPPNW Disputes Accuracy Of UNSCEAR Report On Fukushima
http://www.fukuleaks.org/web/?p=12746
23.   Goddard’s Journal: Fukushima Radiation Not Safe!
http://www.youtube.com/watch?v=ywKv0dj3UuY&list=PLcp63Rw5m_QcohHCu3jEFSFuEF4Va2HHh
24.  フクシマの子どもたちの発癌リスクは過小評価
http://besobernow-yuima.blogspot.jp/2014/04/cancerrisk-to-young-children-near.html
26.   WHO Lies Refuted: Physicians’ Group (IPPNW) Predicts 100,000+ Fukushima Cancer Incidences/Deaths
http://rense.com/general95/wholies.html
27.   Powerful Lies - The Fukushima Nuclear Disaster And The Radioactive Effects On Human Health
http://rense.com/general95/powerful-lies.html
28.   A World In Denial: Underestimating Japan’s Nuclear Disaster
http://rense.com/general95/worldindenial.html
29.   Chernobyl, Fukushima, and Other Hot Places Major Findings from studies of Wildlife in Chernobyl and Fukushima
http://www.totalwebcasting.com/tamdata/Documents/hcf/20130311-1/Mousseau-NYAM-Caldicott-edited.pdf

31.   Birds Could Be Flying Japan Radiation Around Pacific Rim
http://www.earthweek.com/2014/ew140404/ew140404b.html

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