2014年6月18日水曜日

#TRNN リアルニュース ジョセフ・マンガノ「米国西岸における甲状腺疾患の急増とフクシマ核惨事」

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米国西岸における甲状腺疾患の急増とフクシマ核惨事
核専門家・研究者、ジョセフ・マンガノは、米国西海岸における新生児の甲状腺機能低下症の増加をフクシマ核惨事に関連づける研究を説明する。
20131223


【プロフィール】
ジョセフ・マンガノ(Joseph Mangano)公衆衛生学修士・経営学修士は医療研究者、放射線と公衆衛生プロジェクト(RPHP)常任理事。同グループは、原子炉および核兵器による健康被害の調査を実施する米国内で唯一の団体。マンガノの業績は、医療誌掲載論文32本、新聞論説53本、著書3冊、研究知見に関する記者会見27回、政府機関証言19件など。
【テキスト】
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TRNNプロデューサー、ジェシカ・デヴォラオ:
リアルニュース・ネットワークにようこそ。バルチモアのジェシカ・デヴォラオです。

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フクシマ核惨事後、日本の電力会社、東京電力による放射能汚染水の太平洋排出について、インターネット上で論議が盛んです。そこでわたしたちのリアル・ニュースでも、東電の敷地から高レベル放射能汚染水が地下水と原発の外の港湾に漏れだしているという事実に特に注目して、この放射能に現実の危険があるのか、知りたいと思います。

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これが現実に懸念すべきことなのか、論じていただくためにジョセフ・マンガノさんをゲストにお招きしました。マンガノさんは医療研究者であり、核兵器および原子炉による災害を専門になされてもいます。また、相互査読論文誌『小児科医療オープン・ジャーナル』(Open Journal of Pediatrics)に掲載された最新論文の筆頭執筆者でもあります。その論文は「フクシマ放射性降下物~カリフォルニアの乳幼児の甲状腺への被害」と標題されています。

ジョー、ご出演、ありがとうございます。
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放射線と公衆衛生プロジェクト常任理事、ジェセフ・マンガノ:
お招き、ありがとうございます。


デヴォラオ:
ジョー、 早速ですが、研究の結果、なにがわかりましたか?
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マンガノ:
そうですね…日本のメルトダウンに由来する放射能は二通りの経路で米国に来ることがわかっています。第一に2011年、メルトダウンが勃発したとき、100種余りの放射性化学物質が大気中に入りこみ、まっすぐ世界中に拡散し、米国など、北半球に完全に拡散しました。それが沈着により、わが国の環境に、飲用水に、牛が草をはむ牧場…(聴取不能)…牛乳などに入りこみました。

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第二の経路として、わたしたちの食べるものとわたしたちの体に入りこみ、これが今もつづいています。2011年からこのかた、日本人はメルトダウンを統御できず、放射性化学物質を太平洋に放出しつづけ、それが着実に西から東へと移動し…米国西海岸に到達しようとしています。
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デヴォラオ:
わかりました。ご研究で、子どもたちの身に起こっている甲状腺機能低下症を論じていらっしゃいます。説明していただけますか?
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マンガノ:
さて、放射能がわが国に来て、最大量が西海岸に到達したことがわかっているだけではなく、一般的に放射線被曝に対して最も感受性が高い人間は、胎児や乳児といった非常に若い子どもと幼児であることもわかっています。成人に対する線量は、胎児や新生児に対する同じ線量ほどには有害でありません。
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甲状腺が放射線に対して感受性が極めて高いこともわかっています。甲状腺は、喉を包みこむ蝶のような形をした分泌腺です。放射性混合物に含まれる化学物質のひとつは、放射性ヨウ素です。ヨウ素を摂取すると、それは胃から直に血流に取り込まれ、甲状腺に届いて、そこで細胞を攻撃して、殺します。
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論文にとりかかったとき、わたしたちが使える2011年のデータは、甲状腺機能低下症の新生児のものだけでした。この国のすべての乳児、すべての新生児は特定の疾患の検査を受けることになっており、そのひとつが甲状腺機能低下症でした。カリフォルニアは、もちろん(西海岸で)人口最大の州であり、わたしたちはここに着目して、フクシマ後9か月間の甲状腺機能低下症の罹患率を前年の分と比較して変化を調べ、26パーセント増加していることを明らかにしました。
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デヴォラオ:
わかりました。なかには詮索好きがいて、この結果を得たからとしても、直接に関連しているとどうしてわかるのだと言うことでしょう。この原因がフクシマ核惨事であると、どのようにしておわかりになりましたか? 甲状腺機能低下症の別の原因にも言及していただけるでしょうか? それをどのようにして研究から除外なさったのでしょうか?
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マンガノ:
甲状腺機能低下症の原因は、放射性ヨウ素被曝の他にはほとんど知られていませんし、甲状腺癌でもやはり同じで、食事を介したヨウ素がリスクを高めますし、ヨウ素不足の場合にも、つまり食品中の非放射性のものが不足しても、リスクが高くなります。だが、これは米国にはあてはまりません。ほとんど、第三世界諸国でのことです。他の原因としては、家族の血統などがあります。甲状腺疾患の現実的な理由として、ドラッグ依存の前歴がありますが、これは新生児ではありえません。被験者は新生児なのです。そういうことです。
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ですから、わたしたちは他に原因がないとはいいませんが、フクシマ由来の放射能が小さな胎児の病気の主たる原因である、おそらくその可能性が最も高いと信じる確かな理由があります。このことを証明するために、わたしたちは追跡調査をおこない、乳児の他の健康状態――他の出生異常、乳児死亡、低体重出産、未熟児出産などといった質のことがら――に注目したいと思います。
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デヴォラオ:
日本でも同様の研究がおこなわれていますか? 挙げていただくことができるでしょうか? というのも、このようなことがカリフォルニアで起こっているなら、日本で起こっていることは、きっと仰天ものであるはずだと思うからです。
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マンガノ:
よいご質問です。日本での線量は、米国西岸での線量より何百倍、何千倍も高いですから。残念なことに、日本に一例を除いて研究がなく、その一例とは、福島県立医科大学が実施しているものです。福島医大は甲状腺機能低下症には着目しませんでしたが、フクシマに比較的近い18歳以下の子どもたち20万人を対象に、2つのことを検査しました。第一に甲状腺癌の検査をしました。そして、子どもたち59人に達する甲状腺癌を見つけました。通常の場合、子どもの甲状腺癌は稀です。正常なら、一人か二人でしょう。今回は59人です。
(訳注:20131112日開催、13回「県民健康調査」検討委員会で発表された数値〔内訳は、確定26例、手術後に良性と判明1例、悪性疑い32例〕。最新の悪性ないし悪性疑い例数は、2014519日開催、15「県民健康調査」検討委員会で発表された悪性50例、悪性疑い39例:合計89例)
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福島医大が見つけた二つ目のことは、超音波による子どもの甲状腺検診で前癌状態のしこり、つまり、結節と嚢胞(のうほう)の所見です。これまでのところ、フクシマ近辺の子どもたちの56パーセントに前癌状態の結節や嚢胞がじっさいに見つかっています。この率は年ごとに高くなっています。2年前が35パーセント、昨年が45パーセントで、今年が56パーセントです。ほどなく、地域内のほとんどすべての子どもたちが甲状腺に前癌性の腫瘍があるということになるでしょう。それがわたしにとって、このメルトダウンがいかに危険なものであってきたかを物語る有力な証拠になります。
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デヴォラオ:
話しを公正に進めましょう。じっさいにこの浄化作業を担当している政府と当局者らはこの危険を強調してきませんでした。ここで、東京電力浄化のボス、原子力改革監督委員会の委員長、デール・クラインがおおっぴらに語った公式見解に注目したいと思います。彼がオーストラリア放送協会のインタビューに応じて語ったことがあります。聴いてみましょう。

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***
原子力改革監督委員会、デール・クライン委員長:
当日の終わり、水が排出されるとき、それが希釈されて、公衆衛生と安全性にリスクをおよぼさない形で放出されることでしょう。しかし、感情的な問題ではあります。

***
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デヴォラオ:
では、ジョー、これをどう思いますか?

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マンガノ:
半分、正しいですね。もちろん、放射能は希釈されます。フクシマに最も近くて、太平洋に流入するとき、最も濃密でしょう。それが流れて、何マイルも何マイルも移動すれば、薄まっていきます。

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でも、それで、放射能が健康リスクをもたらさなくなるということではありません。放射能はすべて、低レベル線量であっても、健康リスクをもたらします。それが、たったいま米国西岸で起こっていることだとわたしたちは信じています。なにしろ、どんどん届いているのですから。
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別のこととして、原子炉がいまだに統御されていませんので、放射能が無害だという言説はすべて時期尚早です。まだ漏れています。いまだに恐ろしい毒物を放出しているのです。1980年、チェルノブイリのメルトダウンでも――フクシマのように――放射能が世界を回って広がり、多くの、大変多くの人びとを病気にしましたが、これでさえ、数週間で終息しました。彼らは土や砂や塩を原子炉に投入し、石棺で覆うことができました。
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フクシマはいまだに放射能を吐き出しています。まだ統御されていません。しかも、すでに3年たっています。ですから、健康に関するいかなる言辞――とりわけ、リスクはないなどということ――は時期尚早であり、当局の人間がそのようなことをいうとは、ほんとうにガッカリします。
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デヴォラオ:
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年たったわけですが、太平洋のこちら側で人びとはこのことをいまだに深刻に捉えています。サンフランシスコ市議会は、水の放射能レベルを検査することを票決しました。今日の終わり、だれかがこの番組を視聴していると、「心配したほうがいいのかな? わたしが食べる魚はあの地域から来ているのかもしれないし、地場産の魚であっても、太平洋を渡ってきているのかもしれないので、心配すべきなのかな?」と自問するのでは、と思います。
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マンガノ:
さて、先月の201311月のことですが、フェアバンクスはアラスカ大学の科学者たちによって証拠が示されたと思います。彼らはたくさんあるフクシマ由来の化学物質のひとつ、セシウム137を観測してきたのですが、アラスカで太平洋の海水中のレベルが上昇しているのを見つけました。彼らはそれが最終的に1960年代中頃のレベルに達するのではと推測しています。
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1960年代中頃、米国とソ連は地上で、何百発も、400発以上の原子爆弾を爆発させていました。人びとは、とても、とても驚いたのですが、それも核戦争のおそれのためだけではなく、死の灰のためでしたので、両国と英国とは地上核実験を禁止する協定を締結しました。だれもが公衆の健康を脅かしているという点で一致していたのです。ジョン・F・ケネディ大統領は、子どもたちの健康がリスクにさらされているので、わが国はこの協定を必要としていると演説しました。そしていま、アラスカ大学の研究者らは同じことになるといっています。ですから、わたしたちは50年前と同じ心配をするべきであるとわたしは信じています。
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デヴォラオ:
わかりました。ジョセフ・マンガノさん、ご出演、ありがとうございました。

マンガノ:
お招きいただき、ありがとうございました。


デヴォラオ:
みなさまのご視聴、ありがとうございました。
【おことわり】リアルニュース・ネットワークのテキストは、プログラム録音をタイプしたものです。TRNNはテキストの完璧な正確さを保証するものではありません。
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