2014年9月15日月曜日

【海外報道】NYタイムズ「フクシマから3年 ~日本政府、原発再稼働を認可」

HTTP://WWW.NYTIMES.COM/

フクシマから3
日本政府、原発再稼働を認可
Three Years After Fukushima, Japan Approves a Nuclear Plant
マーティン・ファックラー MARTIN FACKLER 2014910
再稼働の安全性を最初に認証された九州の川内原発の原子炉2基。
Credit Kyodo News, via Associated Press
【東京】日本の原子力規制庁の動向が遊休中の核産業の操業再開に道筋をつけるものとして広範な注目を集めてきたが、同庁は10日(水)、3年半前のフクシマ核惨事以来で初めて1か所の原子力発電所が稼働しても安全であると発表した。
列島南部、九州の川内原発2基は、核監視に対する社会の信頼を修復するために2年前に創設された原子力規制庁によって、再稼働してもじゅうぶんに安全であると認定された最初の原子炉になった。福島第一原子力発電所における20113月の三重メルトダウンが、地震が多発する日本の原子力の安全性に対する社会の深刻な疑念を招いたあと、48基ある日本の商用炉のすべてが操業停止を余儀なくされていた。
承認を得たにしても、原子炉のいずれか1基を再稼働するには、おそらく何か月もかかるだろう。同原発を運営する九州電力株式会社はさらなる安全検査に加えて、原発周辺の地方自治体の同意を得なければならない。地元メディアの報道によれば、おそらく10月に首相が原発再稼働の可否を最終的に決定することになる。
この承認は、大企業を支援し、長らく衰退してきた国家経済を再建する戦略の一環として、原子力の復活を望んでいる安倍晋三首相が率いる政府が、規制庁に加えた強烈な政治的圧力に従ったものである。日本の貿易収支は赤字が膨らんでおり、当地の多くの向きがこれを原子力電源の喪失を穴埋めする輸入燃料のコストが膨れあがっているせいだとしていて、安部首相はこうした状況に終止符を打つことも狙っている。
しかし、世論調査によれば、国民は依然として原発の安全性を疑っており、また、安倍氏の与党、自由民主党が強固な政治力をもつ核産業と久しく緊密に繋がってきたことから、同党の安全を請け合う資格についても懐疑的である。そのような疑念は、7月に原子力規制庁が川内原発の安全措置に対する承認を表明した報告素案を発表したあと、1か月間のパブリック・コメント募集期間中の先月に表沙汰になった。
規制庁は寄せられた意見が予想以上に多く、17,800通に達したと発表した。その多くは、火山活動が活発な地域に立地する川内原発の安全性について多大な疑念を表明していた。それなのに規制庁は、4日(木)、7月の結論を大して修正することもなく再確認しただけだった。
規制庁は18,600ページになる九州電力作成の関係文書を精査した結果、また同庁独自の施設検査の結果を併せて、決定を下したという。原子炉とその他の設備、また緊急時に対処するための不測事態対応計画は、同庁が昨年7月に採用した安全基準を満たしているともいう。
規制庁の委員、大島賢三氏は「何よりもパブリック・コメント(に寄せられた意見)の膨大な数が、再稼働問題、および原子力の安全性に対する深い敏感さを反映していると思います」と記者らに語った。「また、福島事故のあと、その経験から学び、安全レベルを引き上げたいという強い欲求をも反映しているとも見ています」
規制当局者らは、新たな安全基準が地震と津波によって福島原発になくてはならない冷却システムが機能停止を余儀なくされたことで起こったフクシマ核惨事の教訓を全面的に取り入れており、世界で最も厳格なものであるといって国民を安心させようとした。
再稼働反対派は、規制庁がパブリック・コメントで挙げられた懸念の声を無視していると主張した。彼らは、規制庁が独立性を高めた監視を求める切望に包まれて発足したはずだが、ますます行政の都合に合わせて、めくら判を押しているように見受けられるようになっているという。
川内原発の再稼働を阻止する運動に関与してきた鹿児島大学の平和学専攻教授、木村朗(あきら)氏は、「安倍政権が規制庁に強烈な圧力をかけていたのは明白です」といった。「この政権は、民意を完全に無視して、もっぱら政策を強行しています」。
本稿の紙面版は、2014911日付けニューヨーク版第6面に掲載。タイトル:” Three Years After Fukushima, Japan Approves a Nuclear Plant.”

【関連記事】
http://newsphere.jp/



【規制委に圧力】
鹿児島大学で平和学を教える木村朗教授は、「安倍政権からの強い圧力があるのは明らか」とし、政府が国民の意志を無視して、そのアジェンダを押し通そうとしていると述べる。また、再稼働反対派も、より独立した監視を目指し作られた規制委が、どんどん政権のためのゴム印化しているように見える、と非難している(ニューヨーク・タイムズ紙)。



「一般意見は今後に生かすべき」
大島賢三委員は「採用されなかった意見も多いが、原発の安全性をさらに高めるための具体的な提案や規制基準の見直しを求めるものもある。公表して終わりではなく、今後の安全研究に生かしたり、対応を検討したりしていくべきだ」と述べました。









田中龍作 20140910
どんな手を使ってでも原発を再稼働させたい安倍政権の姿勢が露わになった。
ウソで塗り固めた九電・川内原発の審査書案を、原子力規制委員会がきょう、承認したのである。再稼働への合格証書が与えられたのだ。
日頃は飄々としている田中委員長だが、きょうは表情も硬く下を向いたままだった。
10
日、原子力規制庁 写真:筆者(田中龍作)

0 件のコメント:

コメントを投稿