2014年10月6日月曜日

NHKワールドが伝えるムソー教授らの #フクシマ「低レベル放射能の生物学的影響」フィールド研究






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日本内外の科学者たちが手がかりを求めて、福島の放棄された野山をうろついてきました。彼らは、損壊した原発から放出された放射能が動物や昆虫に与えている影響を究明しようとしているのです。低レベル放射能であっても生物に影響をもたらす有り様にとりわけ注目する科学者らもいます。NHKワールドのクレイグ・デイルがお伝えします。
 

生物学者、ティモシー・ムソーは日本にいる間、たいがい福島で昆虫採集をしてすごしています。

このアメリカから来た科学者は、福島第一原子力発電所から約30キロ北西に移動研究室を設置しています。

ムソーは、さまざまなレベルの放射能によって、昆虫、蝶類、その他の生物が影響を被っている実態を解明するために研究しています。

サウスカロライナ大学、ティモシー・ムソー教授「影響の認められる生物種もありますし、まったく影響の徴候のないのもいます」
ムソーらの研究チームは、原発事故の数か月後、20117月に影響の徴候を探しはじめました。彼らは福島県に何度も通い、400地点を調査しました。

研究チームは放射能レベルを記録し、生物種の多様性、生息数、その他のデータを集めました。ムソーは、とりわけ低濃度放射能による影響に興味があります。
ティモシー・ムソー教授「(小さいかもしれません。大した意味がないかもしれません。だが、測定可能であり、現実なのです)それに、これがわたしたちの本当に知りたいことです。それに、どれほど精密に解明すれば、地域が安全であるか否か判断できるのでしょうか?」
日本におけるムソーの研究はウクライナにおける14年間の研究を踏まえています。彼は、損壊したチェルノブイリ原発の周辺の無人地帯を研究してきました。

ムソーは、低レベル放射能であっても鳥類や哺乳類の生息数に悪影響を与え、さまざま生物の発育を阻害するのを観測しました。
 
ティモシー・ムソー教授「この研究によって、人間集団がたとえずっと低い放射能の条件下で暮らしていても、どのような影響がありうるか、予測することができるようになります」
NHKワールド、クレイグ・デイル「原発事故の影響を研究している科学者たちは傾向を探求しています。個別の生物種だけでなく、植物連鎖の全体に対して、さまざまなレベルの放射能がどのような影響をもたらすのか、理解したいと思っています」
昆虫学者、綾部慈子はやはり福島の森林を調査し、試料を採集して研究しています。
名古屋大学、綾部慈子研究員「わたしは汚染レベルの低い地域を調べる必要があると考えています」
綾部は研究室で、放射性物質が森林食物連鎖の経路をどのように上昇するのか、実態を解明する研究をしています。
福島第1原発に由来する放射性粒子は樹木に降り注ぎ、土壌の中へと移動します。植物がそれを吸収します。その植物を虫が食べ、その虫を別の虫が食べます。

綾部の研究結果は、毛虫、コオロギ、アブの汚染レベルが比較的に低いことを示しています――ところが、連鎖の頂点に立つ捕食者であるクモの場合、高くなります。彼女は、森林生態系の総体のなかで、それが何を意味しているのかを解明するためには、さらなる調査が必要だと言います。

綾部慈子研究員「チェルノブイリに関してはデータがありますが、福島のデータはありません。状況は同じなのでしょうか? 答えを得るために、研究しなければなりません」
ティモシー・ムソーは、福島第一原発事故の影響を本当に理解するためには、10年間は綿密に研究する必要があるだろうと言います。彼は研究資金の増額を求めています。

ティモシー・ムソー教授「それでこそ、この放射能による影響はどれほど大きなものなのか、答えてもらいたい人びとの問にほんとうに答えることができるようになるでしょう。なんらかの意味のある影響が現れるのに要する放射能は、どれほどのものなのか?」
だから、ムソーは答えを求めて、福島に通いつづけるでしょう。自然のなかで人災がどのような影響をもたらしているのかを観察し、そして、それがこの地域に住む人びとに何を意味するのかを理解するのを助けるためです。

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(リンク先末尾に過去記事アーカイブ・リンクがあります)

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