2014年12月20日土曜日

アーニー・ガンダーセン【模擬実験ビデオ】原子炉が破砕する? @fairewinds


原子炉が破砕する?
20141218


Nuclear Crack Down from Fairewinds Energy Education on Vimeo.

もろくなった原子炉はガラスのように砕けますが、ご存知だったでしょうか? フェアーウィンズ・エネルギー教育の核科学者、アーニー・ガンダーセンが原子炉の脆化の実験をしますので、砕け散るグラスを原子炉の圧力容器だと想像してみてください。脆化がとても危険であり、驚くべきものなのは、緊急事態になって、ただちに冷却する必要がある場合、冷たい冷却水の奔流がビデオで見るようなシナリオを引き起こしかねないからです。ビデオでは、蒸気だけが発生していますが、もろくなった原子炉容器が砕けると、その蒸気が高レベルの放射能ということになります。
世界中にある老朽化した原子炉はこの鉄鋼の脆化問題を抱えている恐れがあり、この脆化が鋼鉄製の圧力容器の砕けやすさの目安になります。頑丈な鋼鉄製容器がグラスのようにもろく砕けやすくなるのは、炉心内の連鎖反応による中性子に絶え間なく叩かれているからです。
米国内の原子炉のいくつかが脆化の初期徴候を示していますが、エンタジー社のパリセーズ原発は米国内で最も脆化が進んでいます。ミシガン州コヴァートに立地するこの原発はいま世界で指折りの古い原子炉であり、原子炉容器が脆くなっているため、運転をつづけるのは危険です。パリセーズ原発の保有会社、エンタジー核事業株式会社は、強度を判断するために材質を実際に検査するのではなく、数学的に問題を分析することで、脆化した原発の運転延長を認める2010年の規制の変更に乗じようとしています。安全を重んじるなら、パリセーズ原子炉と世界中の老朽化した原子炉は、当初の想定通りに実際に材質検査を受けるべきです。
原子炉が砕ける? ビデオ・トランスクリプト



0.12
やあ、フェアーウィンズのアーニー・ガンダーセンです。
今日は、世界中の老朽化原子炉の重大な問題について、お話しましょう。


0.30
原子炉は金属でできており、圧力鍋と同じような働きをしますが、ただ圧力鍋が9 kg圧で働くのに対して、原子炉は900 kg圧で働きますので、非常に分厚い壁が必要です。もう一つの違いは、原子炉が金属製遮蔽の内部で熱を発生させることです。ひとつ、需要な違いがあります。圧力鍋は決して高レベル放射線にさらされません。

0.53
核産業は数十年来、金属が強烈な中性子に照射されると、もろくなり、グラスのように砕けるかもしれないことを知っています。この現象を中性子脆化といいます。
1:08
アメリカの原子炉の平均経年数は30年以上であり、老朽化による中性子脆化はアメリカと世界の核産業が直面している最もリスクの高い問題のひとつになっています。
1:22
もろくなった原子炉容器がグラスみたいに砕けるのを防ぐために、蒸気圧がかかるとき、120℃以上の温度を保たなければなりません。これを学術用語で無延性遷移温度といいます。
1:42
当然のことながら、40年前の古い原子炉を脆化実験で破壊するわけにはいきませんので、核事故のさいに冷たい水が熱い原子炉容器に当たればどうなるか、お見せしたいと思います。これを加圧熱衝撃といいます。どうか、この実験を家庭内でしないでください。
2:05
手伝っていただくのは、フェアーウィンズ実験室の助手で、怖いもの知らず、キャロライン・フィリップス!
2:10
オーブンで240℃に熱したグラスを、老朽化して、もろくなった原子炉容器に見立てます。
2:21
まず、原子炉内の核反応を冷却するために冷水が注入される様子を模擬実験します
2:27
起こることはグラスによくないですが、これが原子炉であれば、もっと悪い!
2:35
では、始めましょう!





3:48
もう一度、今度は超スローモーション!
4:07
わたしはミシガン州のパリセーズ原発について調べ、原子力規制委員会で証言しましたが、この原子炉は世界一もろくなっています。エンタジー社所有のパリセーズ原発は1982年以来、脆化のために閉鎖の危機にさらされてきました。原子力規制委員会は国民の健康と安全を守るために創設されましたが、信じられないことに、何度も規則を変え、エンタジー社のパリセーズ原発が発電し、利益をあげられるようにしました。
4:47
すべての原子炉の内部に金属試料が設置されており、これを取り出して、脆化の進行具合を検査できるようになっています。パリセーズ原発にもこの試料がありますが、20年間も検査しないように計画されています。ミシガン州民が原子力規制委員会に「なぜパリセーズ原発は試料を検査しないのだ?」と質問しました。規制委員会の回答にはびっくり仰天させられます――「試料を検査すれば、検査するための試料がなくなってしまう」。よく言って、循環論法です! フェアーウィンズは、事故が起こって、ミシガン州を相手に検査するより、試料を検査するほうがよいと信じます。フェアーウィンズの分析と規制委員会での証言がわたしどものウェブサイトのパリセーズ原発ビデオ・ページに掲載されています。


5:44
金属を検査せずに、数値計算による推測だけでパリセーズ原発の運転継続を容認するのは、原子力規制委員会がいかに公衆の健康と安全を守る仕事をしていないかを示す、いまひとつの例です。
6:02
核事故がなければ、これが2014年最後のビデオになります。どうか、楽しく安全な年末年始を。わたしどもの資金カンパ募集活動はフル回転していますので、ご支援をありがたくお受けします。
6:18
フェアーウィンズのアーニー・ガンダーセンです。これからも情報をお伝えします。



音楽:リアム・フライアー
録画:デイヴ・リンク
フェアーウィンズ・エネルギー教育をご支援くださるみなさんに格別な感謝を申しあげます。


【最近のアーニー・ガンダーセン記事】


0 件のコメント:

コメントを投稿