2015年8月21日金曜日

ビジネス・インサイダー誌【科学】米国民600万人の飲用水源がウラニウム汚染


米国の600万住民は肝臓障害リスクを増大しうるウラニウム汚染水を飲んでいる

バーバラ・タッシュ BARBARA TASCH
2015818



米国内2か所の帯水層の水に含まれるウラニウムのレベルは、米国環境保護局(EPA)の最大汚染レベルよりもかなり高い。

そのうえ、ネブラスカ大学リンカーン校の研究者ら2名が主導した研究によれば、これら2か所の帯水層は600万人近くに飲用水を供給しており、そのうち200万人近くが汚染された地下水から1マイル以内に居住している。

またEPAによれば、「EPA基準を上廻るウラニウムを摂取すれば、癌のリスク、肝臓障害、またはその両方が増大する可能性がある」。

ネブラスカ大学リンカーン校の研究者らは、ハイ・プレーン(高地平原)とセントラル・ヴァレー(中央渓谷)、米国民数百万人に飲用水を供給する2か所の帯水層から62,000地点で採取した275,000点近くの地下水試料を分析した。

ハイ・プレーン帯水層は米国内で最大規模であり、テキサス州からサウスダコタ州にかけて、合計8州に広がっている。この帯水層のウラニウム濃度がEPAの最大汚染物質レベル(MCL)の89倍に達するだけでなく、その硝酸塩濃度もMCL189倍である。

カリフォルニア州のセントラル・ヴァレー帯水層のウラニウム濃度はさらに高く、MCL180倍に達しており、硝酸塩濃度はMCL34倍である。

研究者らは、住民の各個人が摂取するウラニウムの量を知るのは難しいというものの、最も影響が大きい領域、テキサス州北部とネブラスカ州全域を地図で示した。
    
帯水層の硝酸塩とウラニウムのレベルを示す地図

ウラニウムの毒性は、それを含む飲料や食材を飲み食いすることで現れる。ウラニウムが摂取されると、消化器系を通って、血流に入り、腎臓で濾過されるが、そのときに腎臓細胞を損傷しかねない。環境有害物質・特定疾病対策庁に委託された研究もまた、生殖系に障害をおよぼす可能性がある。

硝酸塩もまた、人の健康に悪影響をおよぼすことが認められているものの、たいがいの場合、既存の疾患を抱える人に影響している。硝酸塩は酸素を運ぶ赤血球細胞の能力に影響をおよぼすが、たいがいの人の場合、速やかに正常レベルに戻る。その反面、乳幼児の場合、酸素レベルが安定するまで時間が長くかかり、メトヘモグロビン血症という病状、つまり「ブルーベビー症候群」を発症することがある。もっとも、目下、硝酸塩とブルーベビー症候群の関連について、さまざまにたくさん研究され、論争の渦中にある。

硝酸塩はまた、胃酸が十分でない人、それに赤血球細胞を常態(本来の状態)に戻すのに必要な酵素が不足している人に悪影響をおよぼすことがある。さらにまた、硫酸塩は流産やなんらかの出生異常のリスクを増大することがある。

硝酸塩は、化学・動物性廃物肥料から派生し、ありふれた地下水汚染物質であり、研究の結果、ウラニウム汚染地点の78%でウラニウムが硝酸塩の存在に結びついていた。硝酸塩は、一連の細菌反応と化学反応を通じて、ウラニウムを酸化させ、その酸化によって、ウラニウムが水溶性になり、地下水に浸透する。

これら2か所の帯水層は、全米農業の年間産出額の6分の1を占める農地の灌漑水を供給している。

研究者らは、環境科学技術通信(EnvironmentalScience and Technology Letters)誌8月号の掲載論文で研究結果を報告している。


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