2016年3月12日土曜日

【速報】☢#フクシマ5周年☢当日、インドの原発で重水冷却材の重大漏出事故 @DiaNuke_org


核、自然、社会に関する対話と情報
DIALOGUES and RESOURCES on Nuclear, Nature and Society

フクシマ5周年の当日にインドの原発で重大漏出事故
現地非常事態が発令

2016311
クマム・スンダラム Kumar Sundaram

凡例:(原注)、[訳注]、[日]=日本語サイト、〔ふりがな〕

今朝900、インドはグジャラート州のカクラパー原子力発電所[日]1号機が事故を起こした。

同原発の事業者、国有のインド原子力発電公社[日](NPCIL[当訳稿では、以下「公社」])は事故による放出や放射能はないと言ったものの、現地に非常事態を宣言した。公社は主熱移動システムで漏出があったという。ニューデリーTVニュースのは、大量の重水漏れと伝えた。

インドの核規制機関、インド原子力規制委員会(AERB)もまた、この事故の結果、「外部への異常な放出や放射能被曝はなかった」とする談話を発表した。

規制委員会の前委員長、A・ゴパラクリシュナン博士は、当サイトDiaNuke.orgの問い合わせに応じ、一次冷却材循環系で漏出事故があったとしても、状況に関する事実関係の全体像、とりわけ放射能放出はなかったことを示す確証がまだ公表されていないと語った。

公社は非常事態を宣言しておきながら、すべての安全装置が正常に動いており、自動停止が機能したという。

自動的に停止してはいても、核反応炉内の残留熱は長期にわたり高温のままである。

地元の地方判事は本日の漏出について、次のように語った――

「わたしは、目下の状況はコントロールされていると聞かされています。この原発で以前にも事故がありましたので、われわれは心配しております。原発の所長、ジャイン氏はわれわれに、1号機の作業員たちが医療を受けに送られ、漏出のために停止させた1号機はしばらくのあいだ閉鎖すると告げました。われわれは心配しており、この事態に関する完全な報告を入手しようと努めております」

グジャラート州の監視団体AnuMuktiのサンガミトラ・ガデカル博士はDiaNuke.orgに、次のように語った――

「公社の内部文書にもとづく、わたしどもの知見によりますと、カクラパー1号機の試運転時に緊急炉心冷却装置(ECCS)が得心できるほどの試験を実施されていませんので、わたしたちは極めて疑わしく思っています。1993年のことですが、わたしたちは、あの人たちがECCSを試験しないままに反応炉を起動しようとしていると知って、インド首相、グジャラート州首相、その他の当局者らに試運転の中止を訴えました。当時のガンジー後継者、マハデヴ・デサイは5日間の断食で訴えました」

当の同じ反応炉は1994年、洪水がカクラパーに溢れたときに重大事故を起こしている。過剰な水を逃がすはずの水門を開放することができず、水かさが増しつづけた――そして、重大事故につながりかねなかった――が、地元の技師たちの奮迅で事故は防ぎ止められた。その当時、発電所の労働者だったマノジ・ミシュラ氏は、事故について内部告発に踏み切り、公社によって首切りの憂き目に遭わされた。彼は裁判に訴えたが、インドの最高裁判社は、工学分野の学位のない人間には内部告発者の資格がないとする公社の主張を高く買って、彼の訴えを門前払いした。ミシュラ氏には長年の反応炉経験があり、労働組合の有力な指導者だった。

カクラパーの位置は、グジャラート州を貫くヴァンスダ・バルーチ地震断層帯からそれほど離れておらず、この断層帯は何回も大地震を起こしている。

まさしくフクシマ5周年の当日、グジャラート州スラト近くのカクラパー原子力発電所1号機の漏出事故が伝えられたのである。原発関係当局が、安全装置は有効に動き、反応炉は停止していると言っても、現地の非常事態が宣言され、格納容器で重水漏出事故が発生したと伝えられる事実があり、それには高レベルの放射能が含まれているので、数多くの疑問点が浮上する。だが、インドの核産業の常套手段である秘密の壁が立ち塞がっていることを考えると、現にあった事実が明らかになるまで、時間がかかるだろう。

重水漏れは、インドの反応炉で初めてのことではない。インドの原発は冷却材に重水を使っており、インドのたいがいの原発で漏出してきた。プリンストン大学の著名な核物理学者、MV・ラマナ博士が指摘しているように、一定時間の経過とともに、重水素の一部が中性子を吸収して、トリチウムになるので、重水は放射性物質になる。

【クレジット】

DiaNuke.org, “A Major Leak in India’s Nuclear Plant On Fukushima’s 5th Anniv. On-Site Emergency Declared,” by Kumar Sundaram, posted on March 11, 2016 at;

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