2016年9月9日金曜日

英紙ガーディアン【東京発】小泉氏、安倍首相がフクシマの状況についてウソをついたと糾弾



日本の元首相、安倍現首相をフクシマの状況についてウソをついたと糾弾

小泉純一郎氏は、破壊された核発電所の状況をコントロールされていると表現した現首相の発言に異議を唱えている

小泉純一郎氏は、トモダチ作戦で救援活動に従事したさいにフクシマの放射能に被曝したあと、病気になったと訴えている米国の海軍兵と海兵隊員を支援している。Photograph: Franck Robichon/EPA

【東京発】ジャスティン・マッカリー Justin McCurry
201697

日本の元首相、小泉純一郎氏は、同国の現首相、安倍晋三氏に対し、損壊した福島第一核発電所の状況がコントロールされていると国際社会に告げたことで「嘘つき」のレッテルを進呈した。

小泉氏は2001年から2006年にかけての首相在任中、戦後の日本で屈指の国家指導者であったが、政治の第一線から身を引いた立場を活かして、同じ自由民主党に所属し、かつて彼の後継者になって当然と目されていた保守派政治家、安倍氏を無視して、日本における核発電所の再稼働に反対する主導的な活動家になった。

安倍氏は20139月、ブエノスアイレスで開催された国際オリンピック委員会(IOC)の大会で、東京が2020年大会開催地に認定される間際に、福島第一核発電所の状況は「アンダー・コントロール」状態であると委員たちに告げていた。

IOC関係者らは、十数万人もの住民避難を余儀なくさせた惨事から2年あまりたって、フクシマの現場に膨大な量で蓄積した放射能汚染水に関する報告や報道に懸念していた。

「それと安倍さんの『コントロールされている』の話ね、これはウソです」と、小泉氏は東京に駐在する報道記者たちに告げた。彼は「これはコントロールされていない」とつづけ、核発電所の運営企業、東京電力が、損壊した核反応炉の基礎部に流入し、高レベルに汚染される地下水を遮断すると目されていた、高額の経費を要する地下氷土遮水壁をめぐって抱えていた諸問題を指摘した。

「(彼らは)やる、やる、できる、できると言って、できない」と、小泉氏はいった。彼はさらに、核発電が一番安全、一番安価、資源に乏しい日本のための最安値の形態のエネルギーと言い張る業界通らにかつがれてきたのだと主張した。

「彼は原発専門家の言いなりに信じているのです」と小泉氏は述べた。「わたしも首相だったとき、やはり連中を信じていました。安倍さんは論争の両サイドの論拠をご存知だと思いますが、原発ムラを信じることにしたのです」

小泉氏は、フクシマ危機のあと、「わたしは原子力発電導入の手続き、現実、歴史を勉強し、こんなウソを信じたわたしが恥ずかしくなった」と述べた。

日本政府は2030年時点の総電力供給量の20パーセントを核発電で賄いたいと言明しており、安倍氏は日本の核反応炉の再稼働を強く求めてきた。国内に数十基ある反応炉のうち、3基だけが操業しており、そのうちの2基は年内中に定期点検のために停止することになっている。

74歳の小泉氏はまた、2011311日の地震と津波のあと、救援活動――「トモダチ作戦」――に従事したさい、フクシマ放射性プルームで被曝し、白血病などの深刻な健康問題で苦しむことになったと訴えた米国の海軍兵と海兵隊員ら数百人の支援に身を挺している。

軍人たちは2012年、東京電力が事故防止を怠り、被災した核反応炉から放出された放射能のレベルについて虚偽情報を流し、米軍人を危険に晒したと告発する訴訟を起こした。

原告400名のおおかたは米艦ロナルド・レーガンに乗り組んでいたのであり、この原子力推進航空母艦は、搭載ヘリコプターが19,000人近くの死者を出した津波の被災者に緊急支援物資を届けに飛行していたさい、日本の北東部海岸沖合に錨泊していた。

しかしながら、医療専門家たちは、水兵たちが被曝した放射線量は、とても少量であり、無害なレベルであると明言した。2014年に公表された米国防総省報告は、水兵らの健康問題とフクシマの放射能による彼らの低被曝線量のあいだに関連が認められないと言明していた。

小泉氏は5月にサンディエゴで病気の軍人数名に面会しており、彼らの医療費に充当する一助として、来年3月末までに100万ドルを募って調達する計画を立てている。

「日本のためにこれほど苦労してくれた皆さんになにか役に立つことをやらなくちゃと思いました」と、小泉氏は語った。「とても足りるような金額ではないが、少なくとも、皆さんがやってくれたことに日本がありがたく思っていることは示せるでしょう」

小泉氏は安倍氏の核推進政策に対立しているものの、これまでの10年間で二次目の在任になる首相としての安倍氏の業績を高く買っていた。

「原発に関する限り、われわれはまったく対立しています」と、安倍氏はいう。「しかし、安倍さんは一次目の任期中に指導者として犯した間違いを反省していると思いますし、二次目の在任中はもっとましな仕事をしています」

政治生命の点でいえば、安倍氏の実績はこれ以上に悪くなるはずがなかった。安倍氏は20079月、一連の閣僚スキャンダルにつづいて、腸の病状悪化、参議院議員選挙における自民党の惨憺たる大敗に祟られ、首相職を辞任していた

【クレジット】

The Guardian, “Former Japan PM accuses Abe of lying over Fukushima pledge,” by Justin McCurry, posted on September 7, 2016 at;

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201698日木曜日


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