2016年9月16日金曜日

エコウォッチ誌:@drvandanashiva「モンサントとインドの有毒GMOカルテル~ナチスの長い影」

Food  201699




モンサントとインドの有毒GMOカルテル
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ヴァンダナ・シヴァ博士


インドは、はじめて商業化が承認されると思われる遺伝子組み換え生物(GMO)の作物をめぐって、モンサントが仕掛け演出した論争の渦中にある。モンサントは多方面で訴訟に励み、インドの特許関連法規――植物多様性保全および農業者権利法生活必需品法競争法――を覆そうとしている。モンサントは、インドに、国会、デモクラシー、同社が従うべき主権にもとづく法律がないかのようにふるまっている。言い換えれば、同社はそのどれひとつとして尊重していない。

電飾アピール「モンサント=毒の種子」 / Flickr

別の局面では、モンサントとバイエルが合併している。両社は、IGファルベンの毒カルテルの一部門の共同事業、モベイ(MoBay:モンサント・バイエル)化学として一体化している。両社に対する経営支配権は同一の未公開株式投資企業集団の手の内にある。これら企業群の専門分野は、戦争である。アドルフ・ヒトラーの金庫番であり、戦前期ドイツの外貨の最高クラス稼ぎ手であったIGファルベンは、同時に対外諜報作戦機関でもあった。ヘルマン・シュミッツはIGファルベンの社長であったし、シュミッツの甥、マックス・イルグナーは同社の重役、マックスの弟、ルドルフ・イルグナーはケムニコの副社長としてニューヨーク部門を経営していた。

マックス・ヴァールブルク(IGファーベンの取締役)の弟、ポール・ヴァールブルグはアメリカ合州国の連邦準備制度を創立した。マックス・ヴァールベルグとヘルマン・シュミッツはファーベン帝国で中心的な役割を担った。IGファーベンの「指導部」には他にも、カール・ボッシュ、フリッツ・ターミア、クルト・オッペンハイム、ジョージ・フォン・シュニッツラーがいた。第二次世界大戦後、ポール・ヴァールブルグは除き、彼らの各人は「戦争犯罪人」と宣告された。

モンサントとバイエルの歴史は長い。両社は技術を共有して、爆発物と致死性毒ガス類を製造し、二度の世界大戦で両陣営に売却した。連合軍諸国と枢軸諸国は同じ銀行から借金して、同じメーカーから、同じ化学兵器を購入していたのだ。

モベイはヴェトナム戦争期にエージェント・オレンジの原料を卸していた。およそ7600万リットルのモベイ製の枯れ葉剤と除草剤が南ヴェトナム一帯に撒布されたのだ。モベイの化学物質に被曝したため、いまだに出生異常の子どもたちが生まれ、大人たちは慢性疾患や癌にかかっている。モンサントとバイエルが特許を相互供与したエージェント・オレンジは、数十年かけて共同開発された。戦争が持ちこまれ、人命が失われ、聖なる土地が――植民地化と資源の奪取に都合のよい人工的な境界を引かれて――国ぐにに区分けされ、その一方、バイエルとモンサントは爆弾と毒の形で化学物質を売りさばき、両社の兄弟企業が爆弾購入費に充当するための融資を供与した。

バイエル・クロップサイエンス(農産物科学)社とモンサントはつい最近、長期取引関係を締結したと信じられている。これによって、モンサントとバイエルは、相互の除草剤技術とそれに対応する除草剤耐性技術を用立てることができるようになる。バイオテック産業は、特許相互供与協定、合併、買収によって、今日のIGファーベンになり、モンサントが経営実権を握っている。

世界の化学・GMO企業――バイエル、ダウ・アグロサイエンス、デュポン・パイオニア、モンサント、シンジェンタ――が寄り集まって、インド種子産業連合(FSII)を結成し、インドの農民、環境、それに国民と国益を守るために民主的に制定された法規に対する悪玉の攻撃力を増強しようと企んでいる。バイオテック主導企業協会(ABLE)がかねてより、(インド南部の)カルナカタ州高等裁判所が生活必需品法にもとづき発布したインドにおける種子価格統制命令を覆そうとしており、FSIIはこれを補完する動きである。

新規集団は「種子産業」ではなく、種子を生産しない。この企業集団は、種子および植物に対する特許取得が許されていない国ぐににおいてさえ、種子の所有権を主張するために化学製品特許を拡大解釈しようとしているのだ。こういうのが、インド、アルゼンチン、ブラジル、メキシコ、その他の多くの国ぐにで見受ける訴訟沙汰なのである。

インドにおけるモンサントの訴訟のすべては、同社がインドの法律を侮辱し、インドの種子業界と農民から特許料を徴収しようと企んで、非科学的、違法、不当に種子に対する特許を主張しているものだ。FSIIは「IGファーベン100年親族企業連合」であり、独立・自律企業の一体化である。

ファーベン親族化学カルテルは、強制収容所で人間の絶滅に責任がある。このカルテルは、科学実験と革新の美名のもとで遂行したエコサイド(生態系破壊)とジェノサイド(集団虐殺)の世紀を体現している。この毒カルテルは今日、GMO工学の衣をまとい、うんざりするほど「革新」のマントラを唱えている。ヒトラーの強制収容所は殺害の「革新」だった。そして、1世紀近くたって、ファルベン・ファミリーは、同じ皆殺しを――暗黙裡、地球規模、効率的に――実行している。

モンサントが違法特許料を徴収し、インドの農民を自殺に追いこんでいる「革新」は、やはり説明責任のない非直接的な殺害の「革新」なのだ。新しい殺害方法を開発したというだけでは、殺人を正当化できない。他のすべての人間活動と同様、「革新」には――倫理、正義、デモクラシー、人間と自然が享受すべき権利に規定された――限界がある。
環境保護活動家ヴァンダナ・シヴァ「自然の経済で通用するのは貨幣でなく…命」

IGファーベンはニュルンベルクで裁判にかけられた。わたしたちには、人間、その生命権、公衆衛生、環境を守る国際法がある。インドのバイオセーフティー法、植物法、植物多様性法は、自然と人道に対する犯罪の歴史を有する企業の貪欲なオーナーたちを規制するように設定されている。

企業は、新規「遺伝子」、GMOマスタード(DMH-11)を売りこむ準備を整えている。公共部門の「革新」と宣伝されているGMOマスタードは、雄性不稔植物を創出するためのバルナーゼ・バルスター遺伝子系列、およびグルホシネート(除草剤)耐性を付与するための制約遺伝子を基盤にしている。プロ・アグロ(バイエル)は2002年、同じ遺伝子系列にもとづくGMマスタードの商業化計画の認可申請を提出したが、却下されている。

バイエルはグルホシネートをインドで禁止されたものの、アッサム州の茶農園とヒマチャル・プラデシュ州のリンゴ園にこれを売る方途を見つけている。販売代理店は規制を回避するために、グルホシネートを「その他の品目」分類で示して販売している。このような化学物質が政府による承認もなく、わが国の子どもたちの体内に入りこむ経路に乗っているのだ。基本的に、抑制遺伝子に関連する重要特許のすべてはバイエル農産物科学に握られており、同社はアヴェンティス農産物科学を併合し、この後者自体は、シェリング、ローヌ・プーラン、ヘキストが遺伝子工学部門として創設した。バイエルはさらに植物遺伝子システムズを併合し、遺伝子解析に関する特許を保有するエヴォジーンと協力協定を締結した。

工学的に遺伝子を改変されたマスタードが認可を受けていない限り、特許性の制限問題はインドの法律にもとづいて解決する必要があり、植物、種子、農法に対する特許が許されてはならない。GMO技術者であるディーパク・ペンタル元教授は、GMOマスタード種子を商業化しないであろう。バイエル、モンサント、モベイの彼の上司たちは商業化するだろう。

環境・林野省はわが国のGMO綿花にまつわる経験に鑑みて、GMO品種提案を、経済、保健、社会、文化などの要因にもとづいて判定する社会・経済アセスメント制度を設定する選択肢を考慮中である。

社会・経済アセスメントの核心に、独占販売とカルテル、その小農に対する影響の問題がある。たとえ種子に対する特許が許されていなくても、モンサントは15年以上にわたり、インドの農民から違法な特許料を搾取し、彼らを借金の罠にかけ、農民社会に自殺の蔓延を引き起こしてきた。インドの歩兵たち――農民――に対する戦争は、ファーベン親族がわたしたちの地球家族に対して仕掛けた戦争である。

 

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·         Navdanya

【クレジット】

Eco.watch.com, “Monsanto and the Poisonous Cartel of GMOs in India,” by Dr. Vandana Shiva, posted on Sep. 09, 2016 at;

【ヴァンダナ・シヴァ記事】

20141230日火曜日

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