2016年10月11日火曜日

メディシン誌【論文概要】福島の核事故によって汚染された都県における周産期死亡率の上昇

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20161015日土曜日
メディシン誌【論文】フクシマ核事故で放射能汚染された都県における周産期死亡率の上昇
3高レベル汚染6県、福島、群馬、茨城、岩手、宮城、栃木における月別周産期死亡率――20121月に飛躍的に上昇しており、上昇オッズ比は1.156 (1.061, 1.259)



Observational Study
Medicine®

福島の核事故によって汚染された都県における周産期死亡率の上昇

空間的成層化・長期傾向研究
A spatially stratified longitudinal study

Hagen Heinrich Scherb, Dr rer nat Dipl-Matha, , Kuniyoshi Mori, MDb , Keiji Hayashi, MDc
【査読編集者】ローマン・ライシック Roman Leischik.
a ハーゲン・ハインリッヒ・シュアーブ(数学・統計学博士):計算生物学研究所・ドイツ環境衛生研究センター、ドイツ連邦ノイヘルベルグ
b森国悦(医師・医療問題研究会):東大阪市保健所、大阪府東大阪市岩田町4-3-22
c 林敬治:はやし小児科、大阪市

【連絡先】 Hagen Heinrich Scherb, Helmholtz Zentrum München, German Research Center for Environmental Health, Institute of Computational Biology, Ingolstädter Landstr. 1, D-85764 Neuherberg, Germany (e-mail: ed.nehcneum-ztlohmleh@brehcs).

概要

チェルノブイリ後の長期的なヨーロッパの周産期死亡率の飛躍的上昇傾向が、諸々の記述観察研究によって示されている。福島の核発電所事故が同様な現象を日本で引き起こしたのだろうかという疑問が持ちあがる。2001年から2014年までの期間中の47都道府県の出生数1520万人に対して、胎児の周産期死亡、または妊娠22週から生後7日までの新生児死亡の69,171事例について、日本政府は月別統計を提示している。われわれは変化点手法によって長期データの変動を検出し、被曝レベルによって成層化した日本の都道府県における周産期死亡率の時間的傾向を解析することによって、地震・津波、あるいは推定放射線被曝量と関連している可能性がある周産期死亡率の潜在的上昇の推計と検証を試みた。中・高レベル放射能被曝地域を低レベル被曝・無被曝地域と比較するとともに、高度に汚染された地域と地震・津波の被害を受けなかった地域の比較もおこなった。地震・津波とそれにつづく核事故から10か月経過した20121月以降、重度に汚染された6都県における周産期死亡率は飛躍的に上昇した〈上昇オッズ比1.15695%信頼区(1.061, 1.259)、p0.0009〉。中程度の汚染地域の場合、わずかな上昇が認められ、その他の日本各地では上昇が認められなかった。重度に汚染された諸地域における福島核事故から10か月後の周産期死亡率の上昇は、地震・津波により死亡者・行方不明者数と無関係だった。放射性物質で汚染された地域における周産期死亡率は、核事故から10か月後に上昇しはじめ、一般的で着実な長期下落傾向をともなっていた。このような結果は、チェルノブイリ事故後の欧州における知見内容と一致している。本論文で提示するような解析は、未知で制御不能な因子、あるいは交絡因子を考慮していないので、因果関係を示唆することはできても、証明はできない以上、自然および人為的な環境放射能と集団レベルにおける発生衛生に対する有害な影響との関連の性質の追究と定量化の改善を図るために、多様な学問分野における研究の強化が緊急に必要とされている。


略語:CP = change-point(変化点) O = odds(オッズ) OR = odds ratio(オッズ比) PD = perinatal death(周産期死亡) SAS = Statistical Analysis System, software produced by SAS Institute Inc.(統計解析システム、SAS研究所株式会社製のソフトウエア) TEPCO = Tokyo Electric Power Company(東京電力株式会社)

キーワード: change-point analysis(変化点解析) detrimental pregnancy outcome(不幸な妊娠結果) ionizing radiation(電離放射線) nuclear accident(核事故) radiation induced genetic effect(放射線由来の遺伝的影響) stillbirth(死産)

【クレジット】

Medicine, “Increases in perinatal mortality in prefectures contaminated by the Fukushima nuclear power plant accident in Japan,” by H. H. Scherb et al, PDF published online 2016 Sep 23 at;
http://ebm-jp.com/wp-content/uploads/media-2016002-medicine.pdf.

【予告】

Coming soon!目下、論文本体を鋭意、翻訳中。近日中に投稿します。

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