2017年11月5日日曜日

#英紙ガーディアン【海外報道】#フクシマ☢惨事避難民が国連人権理事会で日本政府の人権侵害を証言へ




園田ミツコは、避難民が経済的苦境に直面しており、危険であると信じているのに、帰宅を強いられていると証言する

核惨事の前、強制避難区域の外だった村で稲刈りをする園田ミツコの叔母。Photograph: Mitsuko Sonoda

ジャスティン・マッカリー、東京駐在 Justin McCurry in Tokyo
20171011日水曜日

フクシマからの核避難民が今週、ジュネーブにおける国連機関の証人聴取で、日本政府が2011年の核惨事後に自宅から避難した人びとの人権を侵害していると訴える。

園田ミツコは福島第一原子力発電所の核反応炉3基がメルトダウン状態に陥った数日後に、彼女の夫、10歳の息子とともに自分の村から自主的に避難しており、国連人権理事会を前に、避難民が経済的苦境に直面していることから、惨事後7年近くたった今でも危険であるに違いない地域に帰還することを強いられていると述べることになる。

「わたしたちは日本の政府と社会に棄民されてしまったと感じています」と、園田は1012日に日本に対する定期審査の事前セッションで発言する前にガーディアンに語った。

園田のような推定27,000人の避難民はメルトダウン勃発時に強制避難区域の外側に住んでおり、今年の3月、住宅支援が打ち切られたことから、放射線レベルにまつわる不安があるにもかかわらず、その一部は元の住み処に戻る思案をすることを余儀なくされている。

それに加えて、政府がかつて立入禁止区域だった除染済み地域の避難指示を解除して、福島県土の再建をめざしており、避難を命じられた数万人の避難民は来年3月に賠償金の支給と住宅支援を打ち切られることになっている。

避難民の多くは経済的支援を拒否され、安全でないと恐れる自宅に戻るか、さもなくば国家による援助もなく他の土地で暮らしを再建しようと苦闘して経済的苦境に向き合うか、ほぼ選択不可能な方途に直面するままにされている。

グリーンピース・ジャパンの上席グローバル・エネルギー担当、ケンドラ・ウルリッチは、次のように述べた――

「みなさんは昔なじみの自宅に戻るか否かの選択を許されるべきであり、その選択に必要な経済的手当を与えられるべきです。

核惨事の前、山の渓流で水を飲む園田の息子と友だち。Photograph: Mitsuko Sonoda

「みなさんが帰還を強いる経済的圧力をかけられているようでは、インフォームド・コンセントにもとづく決定権を与えられた立場にあるとはいえません。この国連会合は、日本政府に正しい行動を採るように圧力をかけるためのものです」

避難民は、いまだに放射線「ホットスポット」が一部残っている証拠があるにもかかわらず、福島第一原発の近くの町や村に帰還するように奨励されている。

今年3月に避難命令が解除された飯舘村では、前例のない除染事業の一環として、住宅、学校、その他の公共建築物の安全が宣言されたが、周囲の森林は高レベルに放射能汚染されたままである。ウルリッチは、次のようにいう――

「飯舘村のような場所は野外刑務所と言ってもいいでしょう。みなさんが帰還すれば、生活の質の影響は過酷なものになります。みなさんの暮らしは森林と不可分に結びついていますが、環境からいって、森林に分け入ることは許されません。森林の除染は不可能です」

園田一家は数か月のあいだ住み処を転々としたあとの2年間、地方自治体が家賃無料のアパートを提供していた京都に落ち着いていた。家族はこれまでの4年間、夫の故国、イングランドで暮らしてきた。フリーランスの翻訳者、書道の手ほどきをして働いている園田は、次のように述べた――

「わたしたちは、実質的に2回、避難しなければなりませんでした。息子とわたしは最初、実に苦労しました…わたしたちは日本を離れたくなかったのです」

核惨事前、福島の自宅近くの園田一家。Photograph: Mitsuko Sonoda

園田は食品の安全性と放射線内部被曝の恐れを考え、親類縁者と再会するための一時訪問は別にして、福島に帰還することはできないと確信するようになった。彼女は、こういう――

「わたしの村はとても美しいところなので、本当に悲しいことです。持ち家があり、あの地で引退しようと計画していました」

避難した家族は、新たな住居の資金を工面し、捨ててきた自宅のローン支払いを滞りなくつづけるために親たちが苦労して稼がなければならず、離れ離れに暮らすことを余儀なくされた。園田は、こう言った――

「今年春の住宅支援打ち切りは残酷な仕打ちでした。わたしの友だちの何人かは、意に反して、福島に帰らなければなりませんでした」

園田を支援するグリーンピース・ジャパンは、彼女の証言が、日本政府に避難民に対する経済的支援を継続させ、再定住プランを見直させるための圧力を国際的に構築する第一歩になるように願っている。

グリーンピース・ジャパンは日本政府に対し、国際放射線防護委員会(ICRP)が勧告している最大公衆被曝限度、年間1ミリシーベルト(mSv)以下に空中放射線量が下がるまで、福島の市町村が安全でないと宣言するように要求している。

日本政府は年間1 mSvの長期目標を維持しながら、国際的に原子力発電所の労働者に適用される被曝限度、年間20 mSv以下の放射線レベルの地域に帰還するよう、人びとに奨励している。園田は、次のようにいう――

「放射線レベルが国際的に認められた限度の土地に、みなさんが、とりわけ女性や子どもたちが住まなければならないのは、なぜでしょう? 政府はわたしたちに答えていません」

【クレジット】

The Guardian, “Fukushima evacuee to tell UN that Japan violated human rights,” by Justin McCurry in Tokyo, posted on October 11, 2017 at;

【国際的な反響】

はたして、園田さんの国連人権理事会証言が日本で報道されたでしょうか?


New!新着関連記事 2017116日月曜日
わたしは夫と子どもとともに、福島で健全な地域社会を抱いた夢のような自然環境に包まれて暮らしていました。それも、2011311日の地震と津波が沿岸部の地域社会を破壊し、何万人もの人びとが死亡したまでのことでした。

大震災の後も、余震が絶えませんでした。福島第一原子力発電所が爆発したとき、震災はさらなる重大な恐怖をわたしたちに負わせました。わたしたちはわが子を守るため、西日本に避難しようと決めました。


【更新】2017年11月18日



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